桒原駿の備忘録

囲碁棋士桒原駿のブログです。

研究会の碁③

今日も研究会で打った碁について書いていこうと思います。相手は大西研也四段。時間は30分30秒。私の白番です。

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このような立ち上がり。

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8では1に打つのが良かったらしいです。2の受けには3くらい。意外でした。8の押し上げは調子を与えて飛ばれてしまうので左上の黒が厚い分良くないということなのでしょう。3の一路左のすそに打つ手も良いようです。

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実戦。5では普通

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1など下辺をヒラきそうなところですがこの場合は三々に入って稼がれると左辺から上辺にかけて黒模様、右下は地とバランス良くなってしまうので実戦を選びました。

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白はあえてハサませてこのようにハサんだ石にもたれながら黒の模様を牽制するのが狙いです。

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実戦。下辺の黒四子が重い上に12と白は頭を出せたので白が少し有利に戦えそうです。

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検討では1に打ってはどうかという話が出ました。これはこれで難解ですが左辺をふさいでる分この図の方が黒は良さそうです。

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実戦。下辺の黒の形が悪く眼も薄いので白ペースです。

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ちなみに実戦の2のノゾキを打たないとこのように突き抜かれて大惨事です。

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実戦。1が悪手でした。

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当初の予定では5から取りに行くつもりだったのですがよく見たら6から上手く脱出する手があって方針を変更しました。

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実戦。6までで黒一団がなかなか攻められない石になってしまったので中央と左辺に生きてない石を抱えている白は劣勢です。しかしこの16が緩着で黒から白を攻める手が無くなってしまいました。

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16では1とハサむべきでした。白が動き出せばこのように絡み攻めにします。相手に二つ弱い石がある時はできるだけ近くで分断するのが一番強力な手段ですが、実戦は距離が逆に開いてしまったので白は安心できました。

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前述の通り絡み攻めの心配がなくなったため16まで致命的なパンチを食らうことなく逃げおおせることができました。ここで17が薄い手で逆に白がパンチを繰り出します。

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1が厳しい手で17までほぼ一本道でAとBが見合いになっています。

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実戦。Aの利きがあって若干難解でしたが黒取られ。もう少し打って白中押し勝ちになりました。

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余談ですがここで1に打ってきたらドヤ顔で2に打とうと思ってましたが実現しませんでした(笑)ちょっと上手い手なので読んでみてください。では。