桒原駿の備忘録

囲碁棋士桒原駿のブログです。

今日の手合 13局目

また今日打った手合について書いていこうと思います。新人王戦で相手は中部の寺田柊汰初段。私の黒番です。

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このような立ち上がり。15に入ったことで競り合いが始まります。

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実戦。白は左右どちらも冷静に頭を出してきました。この分かれは黒まずまずだと思いました。

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実戦。右下が一段落しました。左右に不安定な石が二つある白に対し黒は中央の一つだけなので、少し有利に戦いを進められそうです。

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実戦。1は12に打たれた時に良い所にあると思ったのですが固めてしまう意味もあったのであまり打たない方が良かったかもしれません。

下辺の戦果は相手の眼形を削り自分には5目くらいの地っぽいものができたのでまずまずだと思います。

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実戦。3や5が少し重かったかもしれません。相手の打ちまわしが重厚なのでつられてしまった気がします(笑)

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このように軽快に打っていた方がどちらも半歩くらい攻めが速そうです。

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実戦。7は白が多く入りにくい所に入ったように見えますが左下の白が弱いので激しく攻められることは無いだろうという読みです。

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実戦。10が緩着でした。左辺を地にするにはさらに12と打たなければならずその間に白が打った11、13の方が要所ではるかに大きいところでした。

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ここでは11から分断する一手でした。ここを簡単につながられては既に黒が悪そうです。

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実戦。2がAと6を見合いにした手で僕の発想に全くなかった好手でした。下辺の黒に白が寄り付こうとした所からコウ争いが始まりました。形勢は白が良さそうなのですが、局後の検討で相手と話した時お互いに黒が良いと思っていたことが発覚したので対局中はなかなかカオスな状況だったようです(笑)

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ちなみに右上のコスミで中央を受けると三々に入ってこのコウは白がやれそうです。

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(3、6、9、14、17、20がコウ取り)

実戦。コウ争いです。普通のコウ材が無くなった黒は仕方なく21の逃げ出しを見たコウ材を打ちましたがここで白は受けずに解消していれば優勢だったようです。

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(3、6、9、12、15、18、21、24、27はコウ取り)

実戦。おわかりいただけただろうか。事件が起こりました。なぜか右下がコウになりました。どう相手のコウ材を減らそうか考えてるうちにうっかりしてコウが増えてしまいました。間抜けもいい所ですね。対局中はもちろん絶望していました。

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普通に考えたらこのくらいでも簡明に生きですね。手になるなんて微塵も考えてなかったのでお恥ずかしい限りです。

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(5はコウ取り)

実戦。事件発生直後に相手にもミスが出ました。1が小さい手でどうやら左下のコウを黒から解消するときはAと打つと勘違いしていたようでそれなら地でいけると判断したそうです。実際は2と切って解消できるので地の勝負なら黒がいけそうです。1では右下のコウを争っていれば白が良かったと思います。

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(1は放り込み、3、6、9、12、15、18、21、24はコウ取り)

実戦。右下は28で絶妙に生きています。(厳密に言うと4手ヨセ万年コウだけどほぼ生きみたいなもの)

こうなればさすがに左下が大きく少し黒が良さそうです。

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右上は生き生きで黒地も荒れましたが白地も荒れたのでまあ良し。黒少しリードでヨセに入ります。

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最後は白が無理をした所をしっかり仕留めて黒中押し勝ちになりました。白が無理をしていなければ黒が4目半くらい良かったと思います。

緩着から見損じまで転げ落ちるように悪くなりましたが落ちた先に勝ちも転がってきたのでとてもラッキーでした。次はもっと良い碁が打てるようがんばります。