桒原駿の備忘録

囲碁棋士桒原駿のブログです。

今日の手合 4局目

今日の手合についてまた書いていこうと思います。相手は小林泉美六段。私の黒番です。幽玄の間で中継されていて手っ取り早いので最初に総譜載っけておきます。

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最初この場面でめっちゃ悩みました。右辺の黒を動くつもりだったのですが考えてるうちにあまり幸せになれないような気がして大場に回ることにしました。

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実戦は三々に入ったのですが6にカカられて微妙でした。ここであまり良い手が見えなくて困ってしまいました。

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Leelaによるとカカリを打ってから左下の両ガカリに回るほうが良かったようです。左下の両ガカリはとても大きかったらしく、軽視していた私はこの後何度か打つ機会を逃します笑

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あまり良い手が見えなかったので結局1と動き出しました。実はこの手でも左下の両ガカリが大きくその次に右上の受けが大きかったみたいです。

7のツケは様子見でAで受けてきたら白は△の部分がつながりにくくなる意味があるので1の右につなごうと思ってました。Bに受けてきたら△でつながりやすくなるので黒はつながずにCなどと外から迫り捨て石にしようと目論んでいました。

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この場面。右上の両ガカリに対してどう受けるか悩ましい所ですが

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実戦のこちらのツケはおそらく悪手。Aとツガれた時右辺が味よく安定し右下とつながる必要もなくなったため右辺の黒一団がただの浮石になってしまっています。

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こちらのツケが正しくAの切りからの利きも残るので良い勝負だと思います。

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ちなみに1は2と切られて黒のシチョウが良いので打ちにくいです。

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実戦は白が先ほど示したツギではなく1と打ったので黒は1目かみ取って安定した上、白は目が薄くなりAあたりをつながらないといけなくなったので少し黒が盛り返しました。

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白の1に対して2の当て込みが自慢で大分白をへこませることができました。

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ちなみに1と切って反発すると2から黒が取ることができます。

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せっかく盛り返した所だったのですがこれがまた微妙でした。

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右下を決めて5と回るのがめちゃくちゃ大きかったです。この変化も考えてはいたのですが打っている時はAから攻められることを警戒していました。今こうして見ると全然怖くないですね。ビビりすぎでした。

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1から12は我ながら上手くやったような気がします。ここで先手を取って待望の13。理想的な流れでした。

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上ツケで黒の調子が出てしまったので白は一路高くハサんだ方が良かったのかもしれませんね。

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ここで1が悪手。中央の黒が攻められ過ぎなければ地ではリードがあるので優勢と言える状況ですが、この変化ではAの味が残り白に中央を攻めやすくさせてしまいました。

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ここでは1の方が良く、以降同じような展開が予想されますがこうなった時に下辺の味が段違いです。この展開なら細かいながらも少し黒が良いような気がします。

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実戦は1と下辺を直接決めにきました。もう少し味を見ていやらしく攻められたら危なったかもしれませんが、素直にきてくれた分すんなり脱出することができました。

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続いて白1に対して黒2が厳しく、分断に成功。12と左辺をまとめて上辺の黒は捨てても優勢だと判断しました。

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もちろん白は1で4と打てば黒の一団は取れたのですがそれでは足りないと判断し変化しました。黒はそれに対し2~6とつながり勝勢。もう少し打って黒中押し勝ちとなりました。

大幅に劣勢な場面はなかったものの所々脇が甘く勝てたのはラッキーでした。次もがんばります。