桒原駿の備忘録

囲碁棋士桒原駿のブログです。

今日の手合 14局目

また今日打った手合について書いていこうと思います。相手は有村比呂司八段。私の白番です。有村八段は私が昔から岩田子供教室でお世話になっていた先生の一人なのでこの対局はとても楽しみにしていました。

f:id:kuwabara_igo:20191226212012p:plain
このような立ち上がり。この一間シマリに対するツケはAIの研究に伴いよく見られるようになった手ですね。

f:id:kuwabara_igo:20191226212201p:plain

実戦。よくある変化の一つです。14が急所で白の動きを制限しています。

f:id:kuwabara_igo:20191226212529p:plain

ちなみにこの形で一番打たれている変化がこれで

f:id:kuwabara_igo:20191226212709p:plain

私が実戦打とうと思っていた変化がこれです。右上の定石が白厚いので前図よりも頑張って広げられると考えていました。

f:id:kuwabara_igo:20191226213113p:plain

実戦。黒もなかなかの厚みですが10は今すぐ繋ぐ必要があまり無く、地を確保して先手を取った白が少し走っている印象です。

f:id:kuwabara_igo:20191226213619p:plain

これもよくある変化です。白カラいですが黒から利きも多くそれなりに良い勝負だと思います。

f:id:kuwabara_igo:20191226215249p:plain

実戦。右中央の黒が厚いので真っ向から戦いたくない白ですがそこそこ上手く打ちまわせたのではないかと思います。7では

f:id:kuwabara_igo:20191226215635p:plain

このように打つ方が手堅くて良かったかもしれません。

f:id:kuwabara_igo:20191226215950p:plain

実戦。シチョウが良いので9と曲げました。

f:id:kuwabara_igo:20191226220200p:plain

シチョウというのはこれです。

f:id:kuwabara_igo:20191226220354p:plain

シチョウが悪いときは5と打ってフリカワリにするのが常套手段ですがこの場合は白が良さそうです。

f:id:kuwabara_igo:20191226220807p:plain

実戦。黒を隅で窮屈に生きさせ12と出ることに成功して白がポイントを上げました。

f:id:kuwabara_igo:20191226230411p:plain

外を抑える手もありますが隅が白有利なコウになるので黒は良くなさそうです。
f:id:kuwabara_igo:20191226221600p:plain

黒は地合で劣勢なので7と大場に回りましたが、8からAの利きを見た10の追及が厳しく黒は繋がるのだけでも一苦労です。

f:id:kuwabara_igo:20191226222754p:plain

黒はなんとか繋がることはできましたが6や10が先手で打てて14にハネることができたので攻めは成功です。AにはBと切って一目を捨て石にすれば渡れています。ここが地になると白は相当実利でリードしているので、中央上の黒模様が無条件で大きな地にならなければ白は勝てそうです。

f:id:kuwabara_igo:20191226223701p:plain

実戦。4~8の利かしが9の受けになり隅の地が減ったので中央上はある程度地になってもイケると思いました。

f:id:kuwabara_igo:20191226224045p:plain

実戦。左辺と右辺に白地がついたので優勢を意識していました。手堅く打っても3目半は残るかなという感じです。

f:id:kuwabara_igo:20191226224947p:plain

実戦。大きなヨセは大方打ち終わってほぼ勝ちは揺るがない状況です。

f:id:kuwabara_igo:20191226225725p:plain
(2は1の上、12は33)

最後まで打って白4目半勝ちとなりました。完勝と言っても良いくらいの内容で一年の締めくくりに相応しい碁が打てたと思います。

昨年の倍に当たる20勝という成績を今年残せたのは皆様の応援のおかげだと思っています。さらに良い碁が打てるよう精進していく所存ですので来年もこのブログを見に来ていただけると嬉しいです。では良いお年を。