今日の手合 25局目
また今日打った碁について書いていこうと思います。相手は藤澤一就八段。藤澤先生とは以前ニコ生の番組でご一緒させていただいたことがあります。
私の白番です。
このような立ち上がり。すごいよくあるやつですね。
11のカカリに対して12が相手の意図を外す気合の手でした。
普通に受けると2とケイマされて価値の低い上辺方向にシマらされていることになります。本来なら右上は右辺方向にシマリたいところですからね。
後々調べてみるとこのような手段もあったようでなるほど!と思いました。一つ勉強になりましたね。
右辺にもたれることで上辺の黒を強い左上の白に向かって圧迫しています。
上辺は逃げ出されましたが代わりに左辺を封鎖できたので白が良さそうです。
黒は単に1とトビ出すと白が2にトビ、次にAとBが見合いになるのでそれを嫌って実戦の変化を選んだと思うのですが、大分露骨な手段だったので白としては少しありがたかったです。
1は次にAからのキリを狙っての手だったのですが若干狙いすぎの感じがあったので普通に左下にカカってるくらいの方が良かったです。
左辺の白が切断されましたが先手だったので8のカタツキと16.18のケイマを打って地を確保しつつ安定させることができました。10のノゾキを先に打ってることで二線のマゲにおさえられない形なのが少し自慢です。
中央の境界線が大体定まりました。ヨセで大きなミスがなければ白が残りそうな形勢です。
(2は3の下)
大ヨセが終わって盤面でも良い勝負という感じです。
(18は19の上、22は21の下)
碁形が碁形だけに終盤も穏やかで最後は白7目半勝ち。終始リードを保って勝ちきったまずまずの内容だったと思います。
長かった梅雨もやっと明けてくれたので、少し手合が減ってしまいましたがここからまた調子を上げていきたいです。ではまた次回。
今日の手合 24局目
昨日打った碁について書いていこうと思います。竜星戦予選A、相手は寺山怜六段。寺山先生とはプロになるまで会ったことがなかったのですが、とても面白い方で今では最も仲良くさせていただいている先輩棋士の一人です。
私の黒番です。
このような立ち上がり。4の小目の向きは比較的珍しいと思います。
1のスベリに白は2と厳しく追及してきました。黒はただ脱出するのでは物足りないので5から7と逆に白を攻めつつ頭を出していこうという考えです。
お互いに調子で頭を出していい勝負です。8のノゾキが打てているのが黒としては自慢でした。
5、6と大場を打ち合って地では黒が少しリードしています。白は7から下辺黒へのもたれ攻めを狙っていきます。
19は下辺の眼形の要。右辺のどのタイミングで手を抜くかで大分神経を使いました。
例えば実戦の棒ツギで1のワリコミなら4と受けるつもりでした。1のデが部分的に相当な悪手なので下辺が厳しい攻めを浴びても生きさえすれば悪くないという判断です。
白が5で右辺の二子を取る可能性も考えましたがこれは6と手厚く打っていてまだ右辺にも色々利きがあるのでやれると思っていました。
打ってる時は気づいてなかったのですが6が大悪手だったようです。
ここでは1のトビが良かったです。2のツケで切断されると思ってこの手は却下していたのですが8のキリに9、11で下辺も右辺もギリギリ耐えていたようです。ここが切られないなら実戦とは大違いで明らかに黒良しでした。
1目を抜かれて少し辛い脱出になりましたが左下の白に対しての狙いがあったのでまだやれると思っていました。
4がその狙いだったのですが一手打ち損ねたせいで5、7の切り取りが成立してしまいとてつもなくひどかったです。
打ち損ねたというのがこの1のノゾキでこれさえあれば4は5の反撃が厳しく打てません。実戦1が無い状況で5に出ると4の上に切られて黒が取られてしまいます。
ちゃんと最善に打てばこのように先手で中央を封鎖できそうでした。
右上のシマリには回れましたが中央を封鎖できていない分先ほどの図に比べて一手パスしたような感じなのでさすがに白優勢です。
白のこれぞ手筋というような打ちまわしです。
大分利かされましたが上辺に出られたので黒も悪いことばかりではありません。
(5は26)
1から面白い変化でしたが結局少し黒が得したような気がします。最後の大場である29に白が回って後はヨセ勝負です。
15のキリが少し自慢で17と下から受けると16の2路上のデギリが先手になるので白は16と受けざるをえません。19のオキで少し得しています。
終盤少し追い上げましたが届かず白二目半勝ちでした。いくつか単純なミスが出てもったいなかったですが全体的には悪くなかったように思います。持ち時間が短いとこういうミスが出やすいですが違う競技のような感じがあって楽しいので一時間持ちの棋戦がもう少し増えてくれたらなと思ったりもします。
今日の手合 23局目
また今日打った碁について書いていこうと思います。新人王戦三回戦で勝てば準決勝進出というところ。相手は横塚力七段。横塚先生は小松門下に入る前は元々岩田門下の同門で私が小さい頃からよくお世話になっていた(ボコボコにされていた)先輩です。
私の白番です。
このような立ち上がり。10では左上にカカる手が先に思いつきましたがあえてこちらを選択しました。
(14は13の下)
左下はよくある定石から16と趣向を凝らしてみました。この形は以前少し研究していてこれがまずまず有力という結論を出した記憶があります。
最もよく打たれる変化はこれですが、この場合は左上のシマリとの距離感が良いので白微妙かと思い実戦の変化にしました。
三々に対して手厚く受けて黒が足早に上辺をヒラいた局面。どこが大きいか判断が難しい所です。
実戦は1を選びましたがこれは2、4と上から利かされてしまい良くありませんでした。
ここではこのトビが有力だったようです。続く2に対しては3とカタツけば左上が大きくなる心配もありません。トビ以外では右辺3線のマゲオサエも大きかったようです。
右上の変化は悪くないと思ったのですが全体的に見ると苦手な碁形にしてしまった感じがあったので
(3は2の下)
このように足早に二子を取ってしまった方が良かったかもしれません。良い悪いという点以外で着手を判断するのは難しいですがこれも勉強ですね。
1もまた難しい着手でした。高く打つか低く打つかだけでもかなり悩んだのですが下辺を守る手ともかなり悩みました。の打ちこみに対して5~9が見損じを含んだひどい悪手でした。
元はこのような変化を想定していたのですが、
当てられた時にこのようにゴリゴリ切っていく手がすごく厳しいことに気づき唖然。方針転換せざるを得ませんでした。
(3は6の左)
二目を捨てて突き破るフリカワリを選びましたがこれではあまりにひどい。
少しでもよりつくべく上辺を手筋を駆使して封鎖しましたが左辺の白も封鎖されて生きを強いられてしまっています。
上辺はまとまりましたが少し届かなそうです。
(37は40)
下辺によりつこうとした分後手を引いてさらに差が開きここで投了、黒中押し勝ちになりました。
内容は打ち辛い碁形からうっかりが出ての完敗でしたが、普段と違うベクトルで考えることが多く乗り越えるべき壁が見えた感じがした勉強になる楽しい一局でした。次の碁で成果が出るかは分かりませんが勝ち負けにこだわらず一つずつ強くなっていこうと思います。
新人王戦に関しては準決勝目前で敗退となってしまいましたが、強い相手ばかりに本戦で3勝できたのは今までの最多が1勝だったのを鑑みてもある程度成長できているのかなと思います。新聞などに棋譜が乗りやすい棋戦でもあるので来期はさらに良い碁をお見せできるよう精進します。
今日の手合 22局目
また今日打った碁について書いていこうと思います。相手は井口豊秀八段。井口先生とはプロになるまで会ったことがなかったので、今Cリーグで活躍してるアマチュアの栗田佳樹君の師匠というイメージが強いです。
私の白番です。
このような立ち上がり。最近よく見かけるようなやつです。
この形は2が手筋。9が意外でした。争点の10を打てたのでこの分かれは白が良さそうです。
1のコスミツケは黒が受ければ凝り形にさせることができます。2の打ち込みも結構厳しいので1で下辺を守る手もあったかもしれません。
8の三々に対してどちらを抑えるか悩ましい所です。
先に1を利かして左側を抑え7とツメたのは大分工夫をこらした流れで対局中はやってやった感があったのですが後で検討してみたらそうでもなかったそうです(笑)
ここでは平凡に二段バネで2目を取っているのが良かったようです。
(3は4の右)
この一連は一応場合の手なのですが外の一目を抜かせても良い、かつ白を安定させたい時によく打たれる手法です。
お互いの石がそれぞれ安定しました。白が優勢だと思います。
下辺の黒に寄り付きつつ左辺に地をつけて右辺の厚みも消せたので理想的な展開です。
1が悪手で2の反撃が厳しかったです。4と突き抜かれては相当ひどい。
1と抑えると2からデギられてさらにひどい目にあってしまいます。
1も下辺を守るべきで4から一目を取られてはすでに形勢を損なっています。
(3はコウ取り)
コウの攻防で得して少し盛り返しました。
3はブツカリの方が良さそうでした。ここが最後のチャンスだったかもしれません。
(5は37、11、14、17、22はコウ取り)
ここからは差が縮まらず最後は黒1目半勝ち。途中まではまずまずの内容だったのですが集中が切れたようなミスが続いて情けない碁になってしまいました。残念ですが季節の変わり目や梅雨の低気圧が強い時はままあることなので反省だけしてあまり気にしすぎずに切り替えて行こうと思います。ではまた次回。
今日の手合 21局目
今日は緊急事態宣言が解除されてから初めての手合。およそ70日ぶりでした。院生になって以降これだけ長いこと棋院に行かないことはなかったので道に迷わないか心配でした。
無事にたどり着けたので今日打った碁について書いていこうと思います。新人王戦二回戦、相手は武井太心初段。武井君は院生時代Aクラスで何度も対戦した後輩の一人で、たまにその頃のメンバーの何人かで一緒に遊んだりもします。
では内容へ。私の白番です。
このような立ち上がり。お互い手厚さを意識した穏やかな布石です。
4のツケに対して5のサガリになったのが意外で、上辺の封鎖と右辺のハサミをどちらも打てたので少し打ちやすい展開になったと思いました。
1の逃げ出しから5のキリ違いと一気に戦いに。コウ材が少なくコウにハジキにくい碁形なので9、11は微妙だったかなという局後の検討での話がありました。
単に1と逃げ出して右下は右辺側から利かすのではなく5など下辺側からの利きを見た方が戦いやすそうでした。
ちなみに5に対して6と取りに行くと逆に白がまずい。
1、3はコウ材作り。白もコウ材が無いので4と先回りしてコウにされる心配を無くしました。6までとフリカワリになりましたが白が得しているように見えます。
ちなみに左下を受けるとコウにされて4のアタリをコウ材にされてしまいます。抜き抜きになると実戦に比べて左下は4目の所に放り込んでいることになるのでこちらの方がダメージが大きそうです。
6を押せたことで優勢を確信しました。12のツケは中央に対するもたれ攻めを狙ってはいますが狙いよりはテンションが先行しています(笑)
前図5のノビでは1のマガリを予想していました。2のツギになりそうですが3と飛ばれると右下の4子救出と上辺の1目引っ張り出しがどちらも大きく見合いになっています、形勢は白良さそうですが自信を持てるほどの差ではないと思いました。
先手で左辺に侵入して上辺のコスミに回ることができました。狙いは少しでも援軍を増やして上辺の黒2子を取り込もうというものなので、左辺の5子の価値は低く切断されてもまるまる全部取られでもしない限りあわてて補強する必要はありません。
6は第一感だったのですがなかなか良さそうなポジションでした。黒に反発させることで上辺を確保し次に12から左辺をサバくのにも援軍になっています。
上辺のケイマで左辺を守ると4~8で上辺を分断できます。
カタツキの石を活かして良い感じに左辺を生きることができました。
1で膨らんできた時もこのようにカタツキが働いてサバけています。
下辺は味が悪く難解でしたが右下の1目を抜かせることで下辺を確保することに成功しました。部分的には損しましたが12の抜きと14のキリが打てているので優勢のままです。
最後まで味の悪い所を突いてきましたが全て冷静に対処し白中押し勝ちとなりました。
久しぶりの手合で気合が入っていたのか全体を通してまずまずの碁が打てた気がします。まだ環境的には平常時のようにはいきませんが碁はこのような内容を続けていければと思います。ではまた次回。
面白い棋譜探しの旅 part7 党毅飛ー廖元赫
今回は6月1日に中国で打たれた大循杯21節から党毅飛九段と廖元赫八段の碁を紹介していこうと思います。派手さが無い分若干知名度が低めですが実力は世界トップクラスの二人でどちらも落ち着いた棋風のイメージがあります。
廖八段の黒番です。
このような立ち上がり。よく見る分かりやすい布石ですね。一時期私も白番ではこればかり打っていたような気がします。
1(8)
一番スタンダードな三々定石でシチョウが悪いので12とハネました。
見たことのある形だと思ってうっかり1とケイマするとこの場合は2でカカエられて取られてしまいます。
ハネた後のよくある定石となりました。8では一路高く打つこともあります。10では
一見1から三子を逃げ出したくなりますが以下全て淡々と受けられていても白の石が強い黒のある左辺に向かっているし下辺も星の石と分断されていて石の方向が悪いのが分かると思います。この形では三子は逃げ出さない方が良いというのが定説になっています。
2が争点。白は黒の模様を制限した上に逃げる気の無かった三子を取らせることができました。
2に対して黒が三子を取らず手抜くと今度は2が援軍になり逃げ出しから8がピッタリで黒がまずい。
2でここに打たないと3が大きく、三子の逃げ出しも自然消滅してしまいそうでこれは白が嬉しくないです。
4と5はどちらも大きく見合い。12が気づきにくい手ですがなかなかの好手で勉強になりました。
置いてみると分かりやすいですが例えばケイマの手で右辺のヒラキなどを打つと2のボウシが上辺の白を攻めつつ中央の模様を広げる一石二鳥の手になっています。実戦のケイマはこれを防ぎつつあわよくば左上の黒を狙おうという絶妙な一着でした。
1は石の強弱、方向を把握できていないと打てない好手。白が上辺をケイマしたので中央の価値が低い、右下は白も黒も元々強く相手を固めても痛くないという条件が揃ったことで打てる手で、この状況以外だと悪手になる可能性が高い一着です。
1も方向の良い手。一見ここでは
上からグングン押していきたくなりますが前述の通り中央の価値が低いのでこれは右辺の黒地を固めてしまっただけです。実戦は右辺の黒を制限しつつ上辺の白を補強することに成功しています。
1、3で9のハザマを引き出したり13と一本打ってからツガせることで17がピッタリになったり、筋が良いを辞書で引くとこの図が出てきそうなくらいですね。
落ち着いた碁らしくここから早くもヨセに。こういう展開で一番注目すべきは中央。中央を制すものが碁を制すと言っても過言ではありません。
全く不安要素がない白に対し黒は左辺が完全に生きていなかったので、白はそこを突いて中央に顔を出すことができました。これは大きな戦果です。
ひたすら半目勝負でお互いとてつもなく繊細なヨセ合いです。このあたりは並べているだけでも勉強になりますね。
最後までヨセきって白の半目勝ち。石の方向にフォーカスして紹介してきましたが本当にお互い筋が良く並べていて気持ちいい碁でした。派手な碁も良いですがこういういぶし銀のような碁も良いですよね。ではまたお会いしましょう。
好きな作品 その2 「Another」
久々の好きな作品シリーズです。今回は紹介するのはこちら。
「Another」。ミステリー作家として名高い綾辻行人さんの小説で、後にアニメ化、実写映画化もされています。僕はこの作品が大好きで初めて観た時に衝撃を受けたのですが、その1で紹介したヴァイオレット・エヴァ―ガーデンとは違って人に勧めたこともなければ好きだと公言したこともほぼありません。なぜかというとなかなかグロテスクだからです。なのでこれは僕の好きな作品というだけであってその手の耐性がある人にしかおすすめしないことをまず言っておきます。
・あらすじ
ある田舎の中学に転校してきた主人公。編入した三年三組にはどこか何かに怯えているようなクラスメイト達と自分だけに見えているかのような一人の女生徒が。違和感を覚える日常の中クラスメイトの一人が事故で凄惨な死を遂げる。しかしこれはただの事故ではなく26年前から三年三組でのみ起こる”現象”の始まりだった。この現象を止める方法、そしてこのクラスの秘密とは―
・この作品の魅力
まず本格ミステリーとして成立しているのに事件も起きなければ悪意すら介在しないという設定に感銘を受けました。そしてそれを成立させているのがホラー要素ということにも。僕はミステリー小説が好きで色々読んでいるつもりなのですが、こういう構図のものには初めて出会いました。大体これだとホラー小説よりになるイメージがありましたから。
次に秀逸な伏線。独特なセリフ回しで張られる部分もあり謎が解き明かされた時に爽快感だけではなくなんとも言えない喜びのようなものがありました。叙述トリックに関してはさすがに小説の方が鮮やかだと思いましたがそこは映像化の難易度が高いということでご愛嬌。
最後に世界観。これは特にアニメなのですが制作陣がとてつもなく豪華で背景の描写や色彩、目線や表情、音楽などどれをとってもすごく緻密に不気味に作られています。このあたりは何時間でも語れそうですがここでは自重しておきます(笑)
・最後に
アニメと小説は多少の登場人物設定や描写に差異があるもののどちらも素晴らしいと思うのでお好みで。ぶっちゃけ映画はあまりおすすめしません。
それと今偶然ちょうど良いタイミングでAbemaTVビデオで二週間限定一挙配信がやっているので耐性があって興味がある方は是非。
https://abema.tv/video/title/25-9axuadmcwhh
この後ガッツリネタバレで魅力をもう少し書くのですでに全部観た人と多分観ないであろう人以外は見ないことをおすすめします。ではまたお会いしましょう。
(注)ここからネタバレ
いくつか特に感銘を受けた部分を紹介、もとい語りたいと思います。
まず一つ目。Anotherというタイトルです。英語でもう一つの、別のというような意味ですが、序盤ではこれがクラスで「いないもの」とされた女生徒、見崎鳴のことだと思っていました。これが実はクラスに紛れ込んだ死者であったことが途中で明らかになり気づきます。タイトルによるミスリードだったと。
二つ目。男子生徒、望月優矢の「ムンクの絵もよく誤解されるけどね。あの絵の中で叫んでいるのはあの男の人じゃなくて、彼の回りの世界なの。」というセリフ。これはクラスの状況の本質をこれでもかというくらいに捉えている言葉で、読者、視聴者の視点を180度変えさせるこの作品で最も効果的なセリフだったと思います。
そして三つ目。本編のラスト前、退院した主人公榊原恒一と見崎鳴が歩いているシーン。恒一が「終わったんだよね…?」と言い鳴が意味深な笑みで返すだけですがここには大きな意図が隠されていると思いました。パッと見恒一が死者を倒した時に気胸が再発したが、重症には至らず退院できて現象も収束、二人は笑ってハッピーエンドという感じ。しかしそれでは鳴が何も言わず意味深な笑みを返した描写の理由が説明できないし、クラスメイトの勅使河原と望月が次に現象が起きた時のためにテープを残すという描写をラストに持ってきた意味もない。これらから恒一が実は死者を倒した時に死亡して死者となりそれに鳴も気づいていたのではないかと推測しました。いつ、どうやってかは分かりませんが次の現象は死者である恒一によって引き起こされるのではないかと。
これは僕自身の考察であり特に三つ目に関しては調べてもこれについて言っている人を見かけなかったので真偽は全く分かりませんが、この考察ができたからこそこの作品を名作と思えたのかもしれません。あれが明確にハッピーエンドだったら多分このブログは書いてなかったと思います。