桒原駿の備忘録

囲碁棋士桒原駿のブログです。

今日の手合

今日打った碁聖戦予選B、謝依旻六段との対局を振り返っていこうと思います。私の白番。

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最初の4手からなかなか独特な立ち上がり

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この場面。普通は左辺の開きだと思いますが右上に小ケイマでかかられた時パッとする受け方が見当たらなかったので

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右上をシマりました。これに対し黒は当然左辺のハサミ。このとき桒原二段は思いました。ああ、左辺ヒラいておけば良かったなぁと。

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後悔していても仕方ないので実戦に戻りましょう。1から11と展開していきましたが、いかんせん白が薄いのであまり良いとは言えないと思います。その上相手は力の強い謝六段。食いちぎられる未来しか見えませんでした。

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3のボウシが微妙で図のように形を決めて11とハサむ展開をLeelaは示していました。

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ここで謝六段の剛腕が炸裂。グイグイと分断してきました。元々剛腕が炸裂するのは予想していたので強引にきたらどこか捨てようと思っていました。実戦はAの味を残してまずまずだと思いました。

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しかし実戦1から切断しに行ったのが悪く、6からしっかりつながるのが好手で白は何をしたかったのかよく分かりません。形勢を損ねました。

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1では中央を一本伸びて下を冷静にツケ引くくらいでした。これなら悪くはないと思います。

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この後5から切断していきましたが21までとなりおそらく黒が優勢です。

しかしここで黒22が若干甘く白にチャンスが回ってきました。22ではAやBなどで右上の白によりついて上辺拡大と右辺の白の牽制を目指すべきだったと思われます。

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1から6と利かして7から10と中央を封鎖。これは白が波に乗ってきています。しかし11が悪手。自ら防波堤を立ててしまいました。

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11では1の切りを利かして7と打つべきでした。左上の白の脱出を見つつ上辺の黒の地を牽制する意味があり大きい手でした。

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22まで目いっぱい右辺をまとめましたが上辺がそのまま黒地になってしまったので黒優勢。しかしここで

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1が悪手。2の下にケイマする方が大きく白は2に回ったことでまだ少し足りないですがわからなくなりました。謝六段も局後にこの手について優勢を意識して緩んでしまったと反省していました。

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34まで白必死のヨセで半目勝負となっています。ここで

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1が敗着。2が格段に大きく碁が決まりました。黒が2に打ってれば相当難しい半目勝負だったと思います。

最後は2目半くらいリードしている所で中押し勝ちになりました。

悪手が多く何度もチャンスを手放す反省の多い一局でしたが運良く勝てたので次につなげられればと思います。