桒原駿の備忘録

囲碁棋士桒原駿のブログです。

研究会の碁

最近は手合が減ってきたので研究会で打った碁について書いていこうと思います。ちなみに私はどちらかというと研究会より一人で勉強する方が向いてるので、研究会は手合が二週連続で入らなかった時に実戦の勘を鈍らせないように行くようにしています。火曜日に行われる若手が多い今研究会に参加させていただいていて、今研究会は午前中に長い碁を一局、午後は週替わりで長い碁を二局の日と20秒碁を4局程度打つ日があります。昨日は20秒碁の日でした。

前置きが長くなりましたが本題に入ります。相手は大西研也三段。私の黒番です。

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このような立ち上がり。早速どこに打つか難しい場面です。

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実戦。私は研究会では基本全く勝敗を気にしてないのでこういう手や試したい手をよく打ちます。まぁ手合でも打つことはありますが(笑)

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このような展開になりました。上辺の白が厚いですがLeelaによるとほぼ五分の形勢のようです。2では

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こちらの2の方が実戦より勝ったようです。こうなった時にAからの生きはあるし左上の白が厚いと思って止めたのですが、実際はこの図は黒が良いようです。なので

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白は3、5と一目をかかえてコウになります。Aなどのコウ材を見た戦いになりますが一局の碁だと思います。

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白が1,3と構えた所で4とツケました。4の場面は本当に打つ手が難しく持ち時間があれば長考していたと思います。Leelaによると

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第一候補はこの1でしたが1、3の石がはっきりしない上Aの打ち込みが気持ち悪いので却下。

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第二候補はこれ。1から左下を決めて5とかける図で、白が四目を捨てて厚みをとる一例ですがこれは黒がありだと思います。色々な変化はありますが1が有力だった気がします。

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実戦。そこまでの戦果は得られませんでした。4では

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このようにグイグイ押しを決めてしまって下辺を厚くする方が良かった気がします。

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実戦。この1、3が良い消しでした。アマチュアの方には覚えてほしい消し方ですね。

黒からの攻め方がとても難しいです。

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A,Bあたりが気になりますが黒は1から露骨に攻めに行くよりありませんでした。この図ならまだこれからの碁です。

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実戦は何も良い手が思い浮かばず1と日和ってしまい2から4と居直られて明らかに悪い。

結果は負けてしまいましたがなかなか得る物が多かった一局でした。