面白い棋譜探しの旅 part1 李維清ー黄雲嵩
今回から始まる面白い棋譜探しの旅のコーナーでは、私が棋譜並べをしていておっ面白いなと思ったものをピックアップして簡単に解説していこうと思います。棋譜並べは苦手と感じてる人にはこれをパラパラっと見て並べた気に、好きな人は一緒に並べてガッツリ勉強した気になっていただけると嬉しいです。
あと自分が並べるのは中韓の碁が大半なのでそれが多くを占めることと、並べるのが遅くて載せる碁が微妙に古いのはご了承ください(笑)
今回は3月10日に打たれた甲級リーグのエキシビションマッチ第4節から李維清八段と黄雲嵩七段の碁を紹介します。李八段の黒番です。
このような立ち上がり。大ゲイマシマリに対して10の位置にツケるのはもはや常套手段となってきましたね。黒の受けとしては大体内ハネか外ハネですが
内ハネでよくあるのはこんな感じ。最初見た時はこんなん明らかに黒地デカいじゃん!と思いましたが日に日に白もなかなか厚いなと思うようになってきました。
16がちょうどハサミの位置に来るのを嫌ってか実戦は
黒は外ハネを選択しました。12までよく見る変化です。ここからは色々選択肢があるのですが実戦は
1と手堅くカカエました。それに対し白は2から4度の押し!5線を押すと相手の地が大きいとよく言われますがそのさらに上を行く6線押しです。しかも2線のハネが残っているから右辺に白地が付くこともあまり期待できません。
なんという男らしさ。
しかも押し始める前と押し終えた後のAIの評価を見てみるとなんと!下がっています(笑)でも実はこの四度押しを打っている棋譜は何度か目撃しているのですが高確率で押してる方が勝ってるんですよね。なんか囲碁ってそういうものなのかなと思いました。知らんけど。
黒は右辺を警戒していますが白は意に介さずと言わんばかりに隅に潜り込み下辺も二手連打しました。
そしてこの碁で一番注目してほしい手が1を無視して2とコスミツケた所です。右上隅は次にキリや実戦のハネなどが厳しいことは多くの方が分かると思います。実際私もこの形でブツカられたら受けて当然と思って並べていました。
しかしこの6まで並べてみたらどうでしょう。右上は2の1で生きが残っているし、左下は白の大きな勢力圏へ一変しています。これで黒を持ちたいと思う方は少ないのではないでしょうか。面白いですねえ。
左下が大きな白地になっては困る黒は1のカタツキや3から5のカケツギ、9のツケコシなど多くの技を飛ばしていますが、白に淡々と受けられて悪くなる一方です。碁はこのまま白が優勢を保ち続けて中押し勝ち。
李八段もものすごく強い棋士なのですがそんな相手に最後まで難しい手を打たず状況判断のみで勝ちきった黄七段の名局だったと思います。
総譜も載せておくので良かったら並べてみてください。214手完です。
ちなみに中韓の碁を並べるときは阿Q囲碁というアプリが棋譜も多く、AIも搭載されてるのでおすすめです。
ではまたお会いしましょう。